食糧自給率メモ2

食糧自給率を引き上げるのは安全保障として必要な政策であるのは確か。だけど、こうしたプロパガンダによる政策推進は危険だし、農水相の腐った利権の温床になるだけとの指摘も妥当。政治家には農業補助金バラマキ→票集め、ぐらいのビジョンしかないし。この問題、環境問題やらエネルギー問題、穀物メジャー、遺伝子組換作物、その他様々な経済問題も含めて、視野を広げた議論が必要かな。

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以下、Letter from Yochomachiより引用。
文藝春秋:「農水省 食料自給率のインチキ」(浅川芳裕)

  1. 国民の9割以上が将来の食料に不安を持ち、食料自給率を高めるべきだと思っている。しかしこの指標は農水省の省益を誘導するためにつくり出されたものだ。

  2. 農水省が行っている「食料自給率」とは政策目標としては全く無効である。全く意味がない「カロリーベース」であるからだ。

  3. こ の「カロリーベース」の自給率計算式では、4分の1にも上る流通過程でも食品廃棄ロスが自給率の引き下げに計算される。本来の概念ではない。一人あたり農 産物輸入額で国際比較をすると、一位は英国、二位はドイツ、三位はフランス、日本はフランスの半分で米国と大差はない。対GDPの農産物輸入比率を見ても 全く同順で、日本は0.9%と、国力に占める輸入食料負担は大きくない。それどころか、日本は国内農業生産額で世界第五位の農業大国である。(注:食料品 価格が高いからそうなるんだろうね)

  4. 食料自給率を高めるには、農水省の計算方式では食料輸入をゼロにすればいい。国民は飢える が「食料自給率」はただちに100%となり、めでたしめでたしである。計算式自体がおかしい。生活実感にも即していない。野菜のカロリーが少ないために国 産野菜は重量出荷額では8割以上を占めるに拘わらず自給率には反映されない。畜産酪農品の場合、供給カロリーに飼料自給率を乗じて計算されるため1000 頭以上の豚を飼育してハム・ソーセージを作る有数の事業者でも飼料が輸入と言うだけで農水省の食料自給率への貢献は「ゼロ」。

  5. そ もそも「食料自給率」などを計算して政策の根拠としている国はニッポンだけ(日本の植民地だったことがあり「農村利権」が日本同様に強い韓国では一部で使 われているが)。農水省の発表する各国食料自給率なる統計は彼らが勝手に計算したもの。農水省にその計算根拠を問うと「食料安全保障の機密上公開できな い」とのこと。理由は「戦争に備えるため」と農水省はいう。「外務省と農水省の立場は違う」(農水省)ので、農水省は政府方針を無視してニッポンが戦争を することを前提に考えているのである(注:戦争になればあいつらが一番儲かる)。

  6. 国際的に普通に使われている「金額ベースの食料自給率」では、日本の自給率は66%となる。農水省は金額ベースの自給率国際比較を断固として公表しないが、計算すると日本の66%は「世界ナンバーワン」となる。

  7. カ ロリーベースの食料自給率は国民に食料輸入増に対する不安を訴えるために意図的に農水省が仕組んだものだ。今年17億円もの予算を計上して国民に対する広 告作戦(洗脳作戦)を展開している。全国紙誌に全面広告を打ったほか、芸能人やオリンピック選手まで担ぎ出して「国民のみなさん、このままでは食べられな くなるよ」といった危機感を煽るメッセージを連呼している。この作戦事務局は、最大手広告代理店内にある。

  8. 目的は、農水省と農 協と天下り団体が何らの努力をしなくても生き残る道を作るための農水省予算の維持・拡大にある。決め台詞が「コメの自給率100%」。これ以上作っても売 れない、作っても売れないので減反せざるを得ない、国民の食料が危なくなるからお金をくれという論理。これは「タカリ制度」である。これを継続させるため の隠れ蓑が食料自給率である。

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食料自給率 - Wikipedia