『血塗られたアフリカのバラ』


BS世界のドキュメンタリー
〜血塗られたアフリカのバラ〜(前編)

動物ドキュメンタリーの制作者ジョアン・ルート。アフリカの大自然を愛し、ケニア環境保護活動にも取り組んでいた。2006年、ジョアンは突然何者かによって殺害される。事件の黒幕は、ジョアンの活動に反発していたバラの生産・輸出業者か、それともバラ産業で働く地元の人たちか…? 後編はこちら。

まるでよくできたサスペンス映画のような、悲しく衝撃的なドキュメンタリーだった。(「ナイロビの蜂」なんかより、よっぽど見ごたえあり。)

ケニアのナイバシャといえば、映画『愛と哀しみの果て』の舞台にもなった雄大な自然を思い出す。だが、現実はグローバリズムの暗い影に蝕まれている。

巨大バラ農園による地下水組み上げや農薬排水による環境破壊、職を求め押し寄せた人々による密猟や格差拡大による治安悪化。奴隷貿易と植民地支配で溜め込んだ財産で優雅に暮らす白人達と、貧困に喘ぐ黒人社会の軋轢、さらには白人社会内での対立。蔓延する武器(AK-47)、未だに残る魔術の習慣、簡単に買収されてしまう警察や司法制度の腐敗。。。自然保護活動家の謎めいた殺害事件が、アフリカに横たわるドロドロと複雑な背景を浮かび上がらせる。

実は、ケニアで栽培されたバラは、毎年5憶円以上の規模で日本に輸入されているのだ。。。