『生物と無生物のあいだ』 ★★★

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社
売り上げランキング: 368
おすすめ度の平均: 4.0
4 研究にまつわる苦労話
5 生命は神秘としか言いようがない。
4 「ぜひ中学生に薦めてほしい」
5 文系頭の私にしっくりきました
5 すべての医療者に薦めたい

大部分は分子生物学の歴史的発見にまつわるエピソードと、著者の研究についての回顧録分子生物学への知的興奮もそれなりにあり、著者の研究に対する情熱も伝わってくる。しかし、肝心要の「生物とは何か」というテーマについての考察が、ちょこっとしか書かれていないのが拍子抜け。
「生命とは自己複製を行うシステムである」というワトソンの定義に対し、著者は「生命とは動的平衡である」という仮説を提示する。「動的平衡」という概念は面白い視点だとは思うものの、「動的平衡」の有無を理由に「ウィルスは生物ではない」と線引きすることにはどうも意味を見いだせない。人間もウィルスも、機能の複雑さは違えど、所詮は精巧に出来た分子機械に過ぎないっしょ、、、などと、ひねくれた考えがますます深まる。