『生物と無生物のあいだ』 ★★★
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)posted with amazlet at 09.08.12おすすめ度の平均:研究にまつわる苦労話
生命は神秘としか言いようがない。
「ぜひ中学生に薦めてほしい」
文系頭の私にしっくりきました
すべての医療者に薦めたい
大部分は分子生物学の歴史的発見にまつわるエピソードと、著者の研究についての回顧録。分子生物学への知的興奮もそれなりにあり、著者の研究に対する情熱も伝わってくる。しかし、肝心要の「生物とは何か」というテーマについての考察が、ちょこっとしか書かれていないのが拍子抜け。
「生命とは自己複製を行うシステムである」というワトソンの定義に対し、著者は「生命とは動的平衡である」という仮説を提示する。「動的平衡」という概念は面白い視点だとは思うものの、「動的平衡」の有無を理由に「ウィルスは生物ではない」と線引きすることにはどうも意味を見いだせない。人間もウィルスも、機能の複雑さは違えど、所詮は精巧に出来た分子機械に過ぎないっしょ、、、などと、ひねくれた考えがますます深まる。